受身(피동)と使役(사동)の接尾辞-이/히/리/기・-우/구/추と、生産的な-게 하다/-시키다を、日本語の受身・使役と対比しながら日本語話者向けに整理する入門講です。
🎯 この講の学習目標
この講を終えると、あなたは「ドアが開く/ドアを開ける」「子どもにご飯を食べさせる」「泥棒が警察に捕まる」といった、動作の視点を変える表現を韓国語で理解し、作れるようになります。動作の主体と対象の関係を変える文法を受身(피동)と使役(사동)と呼びます。ニュース記事・説明文・日常会話のいずれにも頻出するため、TOPIK IIの読解と聞取りでは避けて通れません。
日本語にも受身「〜られる」・使役「〜させる」があるので、概念そのものは理解しやすいはずです。ただし韓国語には大きな壁があります。日本語が一つの規則的な語尾で作れるのに対し、韓国語の受身・使役は動詞ごとに使う接尾辞が異なり、丸暗記が必要なのです。この講では入門として、接尾辞の全体像と規則的な作り方の両方を押さえ、頻出語を効率よく覚える道筋を示します。まずは受身から見ていきましょう。
📖 受身(피동)— 接尾辞で作る
この節では、動作を「される側」の視点で述べる受身を扱います。受身とは、動作を受ける対象を主語に立てる表現です。日本語の「泥棒が捕まえられる(捕まる)」「文字が見える」に当たります。
韓国語の受身の作り方で最も基本的なのは、動詞の語幹に受身の接尾辞「-이-/-히-/-리-/-기-」のいずれかを差し込む方法です。どの接尾辞を使うかは動詞ごとに決まっており、規則で予測できないため一つずつ覚える必要があります。これが日本語話者にとって最初の関門です。代表的な例を表で確認しましょう。
| 接尾辞 | 能動 → 受身 | 意味 |
|---|---|---|
| -이- | 보다 → 보이다 | 見る → 見える |
| -히- | 잡다 → 잡히다 | 捕まえる → 捕まる |
| -리- | 열다 → 열리다 | 開ける → 開く |
| -기- | 안다 → 안기다 | 抱く → 抱かれる |
たとえば「문이 열렸어요(ドアが開きました)」「멀리서 산이 보여요(遠くに山が見えます)」「도둑이 경찰에게 잡혔어요(泥棒が警察に捕まりました)」のように使います。受身文では、動作の主体(〜によって)を助詞「-에게/-한테」(人)や「-에」(物・事柄)で表す点も一緒に覚えてください。「친구에게 손을 잡혔어요(友達に手を握られました)」のようになります。ちなみに、聞く・聞こえるは「듣다→들리다」、売る・売れるは「팔다→팔리다」と、ㄷ不規則やㄹの変化を伴うものもあるので、頻出語はセットで暗記するのが効率的です。
💡 使役(사동)— 接尾辞で作る
この節では、他者に動作をさせる使役を扱います。使役とは、主語が誰か・何かに動作を行わせる(引き起こす)ことを表す表現です。日本語の「食べさせる」「起こす」に当たります。
使役の接尾辞は受身より種類が多く、「-이-/-히-/-리-/-기-/-우-/-구-/-추-」の7つがあります。受身と同じく、どの動詞にどの接尾辞が付くかは決まっていて丸暗記が必要です。代表例を見てみましょう。
| 接尾辞 | 基になる語 → 使役 | 意味 |
|---|---|---|
| -이- | 먹다 → 먹이다 | 食べる → 食べさせる(餌をやる) |
| -히- | 입다 → 입히다 | 着る → 着せる |
| -리- | 살다 → 살리다 | 生きる → 生かす・助ける |
| -기- | 씻다 → 씻기다 | 洗う → 洗ってやる |
| -우- | 자다 → 재우다 | 寝る → 寝かせる |
| -구- | 돋다 → 돋구다 | (気を)高める |
| -추- | 낮다 → 낮추다 | 低い → 低くする |
「아이에게 밥을 먹여요(子どもにご飯を食べさせます)」「아기를 재웠어요(赤ちゃんを寝かせました)」「목소리를 낮추세요(声を低くしてください)」のように使います。特に「자다→재우다」「서다→세우다(立てる)」「타다→태우다(乗せる)」のような -우- 型は、形が大きく変わるので頻出語として優先的に覚えましょう。また、漢字語+하다の動詞は「名詞+-시키다」で使役を作れます。「공부하다→공부시키다(勉強させる)」「이해하다→이해시키다(理解させる)」のように規則的なので、こちらは覚えやすい味方です。
🔍 規則的な作り方 — -게 하다
この節では、接尾辞の丸暗記に頼らない生産的(規則的)な使役の作り方を紹介します。接尾辞型が思い出せないときの強力な代替手段です。
どんな動詞・形容詞でも、語幹に「-게 하다」を付ければ使役の意味を作れます。「먹다→먹게 하다(食べさせる)」「가다→가게 하다(行かせる)」「조용하다→조용하게 하다(静かにさせる)」のように、例外なく規則的に適用できるのが最大の利点です。接尾辞型(먹이다)が「直接自分の手で食べさせる」という直接的なニュアンスを持ちやすいのに対し、-게 하다 は「食べるよう仕向ける・許す」という間接的なニュアンスを帯びやすい、という違いがあります。厳密な使い分けは上級で扱うので、3級段階では「接尾辞型が分からなければ -게 하다 で代用できる」と理解しておけば十分です。
受身にも同様に、規則的な作り方があります。動詞の語幹に「-아/어지다」を付ける方法(만들다→만들어지다=作られる)や、漢字語+되다(사용하다→사용되다=使用される)です。ただし「-아/어지다」は次の第5講で「変化」の表現とあわせて詳しく扱うため、ここでは「接尾辞以外にも受身の作り方がある」とだけ押さえておきましょう。
⚠️ よくある間違いと注意点
この節では、受身・使役で日本語話者がつまずきやすい3つのポイントを整理します。
注意1:受身と使役で同じ形になる動詞がある。接尾辞 -이/히/리/기 は受身にも使役にも使われるため、「보이다」は「見える(受身)」と「見せる(使役)」の両方、「읽히다」は「読まれる」と「読ませる」の両方の意味を持ちます。どちらの意味かは文脈と助詞で判断します。「책이 잘 읽혀요(本がよく読める=受身)」と「아이에게 책을 읽혀요(子どもに本を読ませる=使役)」を見比べると、目的語(을/를)の有無で区別できるのが分かります。
注意2:二重受身を作らない。すでに受身の接尾辞が付いた語に、さらに「-아/어지다」を重ねる誤り(例:「보여지다」)は避けるべきとされます。「보이다」だけで「見える」の意味は完成しているためです。日本語の感覚で余分に受身を重ねないよう注意しましょう。
注意3:丸暗記を恐れて逃げない。接尾辞型は規則で導けないため、結局は頻出語を覚えるしかありません。ただし数は限られており、TOPIKに出るものは「보이다・들리다・열리다・잡히다・먹이다・재우다」など定番に集中します。まずはこの定番を例文ごと覚え、思い出せない語は -게 하다/-아/어지다 で代用する——この二段構えが現実的な攻略法です。
📝 まとめと次講予告
今回の要点を整理します。次のチェックリストを自分の言葉で言えれば合格です。
- 受身(피동)は接尾辞-이/히/리/기で作る(보이다・잡히다・열리다・안기다)。動作主は -에게/-한테/-에。
- 使役(사동)は接尾辞-이/히/리/기/우/구/추、または漢字語+-시키다で作る。
- 接尾辞型はどの動詞がどれを取るか丸暗記が必要。頻出語に集中する。
- 規則的な代替:使役は-게 하다、受身は-아/어지다・-되다。
- 同形(보이다=見える/見せる)は文脈と目的語の有無で区別。二重受身は避ける。
受身・使役で視点を切り替えられるようになったら、次は「状態の変化」を表す表現に進みます。次の第5講では、「-게 되다(〜するようになる)」と「-아/어지다(〜くなる・〜になる)」を学びます。今回少しふれた -아/어지다 を、変化のニュアンスとあわせて本格的に掘り下げます。受身の作り方と地続きの内容なので、記憶が新しいうちに進みましょう。
📚 参考資料
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