視点を操作する中級文法の核心、使役(사동)と受身(피동)を完全整理。接尾辞型(-이/히/리/기/우/구/추)と統語型(-게 하다/-아어지다)の作り方、助詞の変化、보이다など一語が両義を持つ罠、日本語との対照まで豊富な例文で解説します。
🎯 学習目標
第5講へようこそ。第1講で「中級は視点を操作する段階」とお話ししました。その視点操作の中心が、今回の使役(사동)と受身(피동)です。同じ出来事でも、「猫がネズミを食べた」と言うか「ネズミが猫に食べられた」と言うかで、焦点も印象も変わります。「子どもがご飯を食べた」を「母が子どもにご飯を食べさせた」と言えば、行為の主体が入れ替わります。この“見せ方の切り替え”ができると、表現が格段に豊かになります。
この講を終えると、あなたは次の3つができるようになります。第一に、受身(피동)を接尾辞型・-아/어지다型・語彙型の3通りで作れるようになります。第二に、使役(사동)を接尾辞型と-게 하다型で作れるようになります。第三に、助詞の変化と、보이다のように一語が使役・受身の両方になる“罠”を理解できるようになります。日本語との違いにも注目しながら進めましょう。
💡 視点を操作する2つの仕組み
このセクションでは、使役と受身の根本的な違いをつかみます。出発点は能動文(普通の文)です。「고양이가 쥐를 잡았다(猫がネズミを捕まえた)」。これを土台に、2つの方向へ変形できます。
受身(피동)は、動作を“受ける”側を主語にする仕組みです。「쥐가 고양이에게 잡혔다(ネズミが猫に捕まった)」。主役が「捕まえる猫」から「捕まるネズミ」へ移ります。一方使役(사동)は、誰かに動作を“させる”人を新たに主語に立てる仕組みです。「아이가 밥을 먹었다(子どもがご飯を食べた)」→「엄마가 아이에게 밥을 먹였다(母が子どもにご飯を食べさせた)」。日本語では受身-(ら)れる、使役-(さ)せる、と語尾がほぼ規則的ですが、韓国語は接尾辞が不規則で単語ごとに覚える必要があるのが最大の難所です。逆に言えば、頻出語を押さえればぐっと楽になります。
🔧 受身(피동)の作り方
このセクションでは、受身の3つの作り方を見ます。最も韓国語らしいのが接尾辞型です。
① 接尾辞型(-이-/-히-/-리-/-기-)。能動の動詞の語幹に、この4つのどれかが入ります。どれが入るかは単語ごとに決まっており、暗記が必要です。
| 接尾辞 | 例(能動→受身) | 意味 |
|---|---|---|
| -이- | 보다→보이다、놓다→놓이다、쌓다→쌓이다 | 見える、置かれる、積まれる |
| -히- | 잡다→잡히다、닫다→닫히다、먹다→먹히다 | 捕まる、閉まる、食べられる |
| -리- | 듣다→들리다、열다→열리다、팔다→팔리다 | 聞こえる、開く、売れる |
| -기- | 안다→안기다、쫓다→쫓기다、끊다→끊기다 | 抱かれる、追われる、切れる |
② -아/어지다型。語幹に-아/어지다をつけ、「(自然に)~される・~なる」という変化・状態の受身を表します。「만들다→만들어지다(作られる)」「깨다→깨지다(割れる)」「쓰다→써지다(書ける/書かれる)」。接尾辞型がない動詞でも広く使え、規則的なので便利です。
③ 語彙型(되다/받다/당하다)。主に漢字語の名詞につきます。「사용되다(使用される)」「사랑받다(愛される)」「거절당하다(拒絶される)」。되다は中立、받다は良いこと、당하다は望ましくない被害、というニュアンスの差があります。第1講で学んだ「漢字語の力」がここでも生きます。
🔨 使役(사동)の作り方
このセクションでは、使役の2つの作り方を見ます。① 接尾辞型は受身より接尾辞が多く、-이-/-히-/-리-/-기-に加えて-우-/-구-/-추-も使われます。
| 接尾辞 | 例(基本→使役) | 意味 |
|---|---|---|
| -이- | 먹다→먹이다、죽다→죽이다、끓다→끓이다 | 食べさせる、殺す、沸かす |
| -히- | 앉다→앉히다、입다→입히다、눕다→눕히다 | 座らせる、着せる、寝かせる |
| -리- | 살다→살리다、울다→울리다、알다→알리다 | 生かす、泣かせる、知らせる |
| -기- | 웃다→웃기다、벗다→벗기다、맡다→맡기다 | 笑わせる、脱がせる、任せる |
| -우/구/추- | 자다→재우다、타다→태우다、늦다→늦추다 | 寝かせる、乗せる、遅らせる |
② -게 하다型(統語的使役)。動詞・形容詞の語幹に-게 하다をつけます。「먹게 하다(食べさせる)」「가게 하다(行かせる)」「행복하게 하다(幸せにする)」。これは規則的で何にでも使えるのが長所です。接尾辞型(直接使役)が「自分の手で直接やる」ニュアンス——「옷을 입혔다(直接着せた)」——に対し、-게 하다(間接使役)は「~するように仕向ける」——「옷을 입게 했다(着るようにさせた)」——という違いがあります。接尾辞形が思い出せないときは-게 하다で代用できる、と覚えておくと安心です。
⚖️ 助詞の変化と「一語二役」の罠
このセクションでは、文を変形するときの助詞の動きと、最大の注意点をまとめます。受身では、能動の目的語(을/를)が主語(이/가)に昇格し、もとの主語は에게/한테/에 의해になります。「고양이가 쥐를 잡다」→「쥐가 고양이에게 잡히다」。使役では、新たな主語(させる人)が加わり、もとの主語は에게/한테や을/를になります。「아이가 밥을 먹다」→「엄마가 아이에게 밥을 먹이다」。
そして最大の罠が「一語二役」です。-이-/-히-/-리-/-기-は使役にも受身にも使われるため、同じ形が両方の意味を持つことがあります。代表例が「보이다」——「별이 보이다(星が見える=受身)」と「사진을 보이다(写真を見せる=使役)」。「읽히다」も「이 책은 잘 읽힌다(この本はよく読まれる=受身)」「아이에게 책을 읽히다(子どもに本を読ませる=使役)」の両方です。見分けるカギは文の構造と助詞。目的語(을/를)があれば使役、なければ受身であることが多い、と判断します。日本語の規則的な-れる/-せるに慣れた皆さんほど戸惑う部分なので、例文ごと覚えるのが近道です。
⚠️ よくある間違い
このセクションでは典型的な誤りを3つ挙げます。第一に、接尾辞の取り違え。「먹다」の使役は「먹이다」で、「먹히다」は受身(食べられる)です。同じ語でも接尾辞が違えば意味が逆になるので、能動・使役・受身をセットで覚えましょう。
第二に、二重受身・二重使役。接尾辞型受身にさらに-아/어지다を重ねた「잡혀지다」のような形は、規範的には誤りとされ避けるべきです。「잡히다」だけで受身は完成しています。「되어지다(되다+어지다)」も同様で、「되다」で十分です。
第三に、助詞の付け間違い。受身で行為者を「을/를」のままにする(쥐가 고양이를 잡혔다=誤)のは典型ミスです。受身の行為者は「에게/한테/에 의해」(쥐가 고양이에게 잡혔다=正)。変形のときは必ず助詞も一緒に動かしましょう。
📝 まとめと次回予告
第5講、お疲れさまでした。今日のポイントを整理します。
- 受身:接尾辞-이/히/리/기、-아/어지다、語彙型(되다/받다/당하다)
- 使役:接尾辞-이/히/리/기/우/구/추、-게 하다(規則的・間接)
- 助詞:受身=を→が・行為者は에게/에 의해/使役=させる人が新主語
- 注意:보이다・읽히다など一語二役/二重受身・二重使役は避ける
使役・受身は「頻出語を例文ごと暗記」が王道です。今日の表の単語を、能動・使役・受身の3点セットで声に出してみてください。ニュースや小説では受身が、日常会話では使役がよく出ます。
さて、次回第6講では「推測・可能性の表現」を扱います。「-(으)ㄹ 것 같다(~しそうだ)」「-나 보다(~らしい)」「-겠-(~だろう)」など、断定を避けて可能性をやわらかく述べる、大人の韓国語の核心です。それぞれの確信度の違いまで整理します。それでは次の講でお会いしましょう。
📚 참고 자료
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