TOPIK I の試験構成を理解し、1級で身につけた初級前半の文法・語彙を点検したうえで、2級合格に必要な能力と文法範囲・学習計画を設定します。
🎯 学習目標
この講義を終えると、TOPIK(韓国語能力試験)I の全体像を説明でき、自分がどの位置にいるのかを客観的に把握できるようになります。具体的には、(1) TOPIK I の試験構成と採点・等級判定のしくみ、(2) 1級(初級前半)で身につけているべき文法・語彙の核心、(3) 2級合格のために新たに必要となる能力と文法範囲、この三つを整理します。
本講座は日本語話者(日本語を母語とする学習者)のための講座です。本文はすべて日本語で解説し、韓国語の例文には必ず日本語訳と読み・意味を添えます。第1講は全20講の「設計図」にあたる回です。ここで学習の地図を持っておくことで、第2講以降の文法学習が「いま自分は地図のどこを歩いているのか」とつながり、定着率が大きく変わります。
なお、本講座でいう「2級」とはTOPIK の等級基準を指します。TOPIK I は1級と2級をまとめて「初級」として扱う試験で、同じ問題を解いた結果、得点に応じて1級または2級と判定される方式です。この点を最初に理解しておきましょう。
📋 TOPIK I の試験構成を理解する
このセクションでは、まず敵を知ることから始めます。試験の形を正確に知らないまま勉強を始めると、不要な範囲に時間を使ってしまいがちだからです。
TOPIK I は、聞き取り(듣기)と読解(읽기)の2領域だけで構成されます。日本語話者がよく誤解するのが「初級でも書き取りや会話の試験があるのでは?」という点ですが、TOPIK I に作文(쓰기)や口述(말하기)はありません。出題はすべて四択のマークシート(客観式)です。この事実だけでも、初級段階では「正確に書く力」より「読んで・聞いて意味をつかむ力」を優先すべきだと分かります。
| 領域 | 問題数 | 配点 | 形式 |
|---|---|---|---|
| 듣기(聞き取り) | 30問 | 100点 | 四択 |
| 읽기(読解) | 40問 | 100点 | 四択 |
| 合計 | 70問 | 200点満点 | 四択 |
採点は領域ごとに100点ずつ、合計200点満点です。そして等級は受験者が選ぶのではなく、総得点で自動的に判定されます。一般に 80点以上で1級、140点以上で2級と判定されます(2級の判定には合計140点以上が必要です)。つまり「2級を受ける」のではなく「TOPIK I を受けて140点以上を取れば2級になる」という考え方です。試験は1時限でまとめて行われ、聞き取りに続いて読解を解く流れになります。
ここから導かれる学習の指針は明確です。聞き取りと読解の両方をバランスよく伸ばすこと。どちらか一方が極端に弱いと、合計140点の壁を越えにくくなります。本講座が文法だけでなく、第18講で聞き取り、第19講で読解を扱うのはこのためです。
🔁 1級で固めるべき土台を点検する
このセクションでは、2級に進む前提として「1級レベルで身についているべき核心」を点検します。土台があいまいなまま新しい文法を積み上げると、必ずどこかで崩れます。以下の項目を見て、訳を見ずに自分で例文を作れるか確認してみてください。
① 文字と発音(한글)。 子音・母音の組み合わせとパッチム(받침)=音節末の子音を正しく読めることが大前提です。例えば 한국(ハングク/韓国) の「ㄱ」パッチムのように、末子音があるかないかで意味も活用も変わります。
② 基本の助詞。 韓国語は助詞の言語です。最低限、次は反射的に使い分けられる必要があります。主題の 은/는(〜は)、主格の 이/가(〜が)、目的格の 을/를(〜を)、場所・時間の 에(〜に)、動作の場所の 에서(〜で)。これらはパッチムの有無で形が変わる点も含めて1級の範囲です。
③ 基本の文体と時制。 丁寧な「합니다体」と会話的な「해요体」、そして過去形 -았/었어요 です。例文で確認します。
저는 학생이에요. (チョヌン ハクセンイエヨ) — 私は学生です。
어제 친구를 만났어요. (オジェ チングルル マンナッソヨ) — 昨日 友だちに会いました。
④ 否定と基本の意志・推量。 否定の 안 〜 / 못 〜、未来や意志を表す -(으)ㄹ 거예요(〜するつもりです/〜でしょう)。さらに数字(漢数詞・固有数詞)、時間・曜日・日付の言い方も1級の必須項目です。
この④項目のうち一つでも「訳なしでは作れない」ものがあれば、そこが2級学習の前に補強すべき弱点です。本講座の第4講(반말と해요体)や各文法回の例文で繰り返し復習できるよう設計してありますが、不安な項目はメモしておきましょう。
🚀 2級で新たに求められる力
このセクションが第1講の核心です。1級と2級の最大の違いは、ひとことで言えば「単文」から「文をつなぐ力」への飛躍です。
1級では「学生です」「会いました」のような短い文が中心でした。2級では、理由・順序・対比・条件などを表す連結語尾(文と文をつなぐ語尾)を使い、より長く論理的な文を理解・運用することが求められます。代表例を見てみましょう。
비가 와요. 그래서 집에 있어요. (雨が降ります。だから家にいます。) ← 1級的な二文
비가 와서 집에 있어요. (雨が降るので家にいます。) ← 2級的な一文
下の -아서/어서 のように一つの語尾で理由をつなぐ表現が、まさに第2講のテーマです。2級で扱う主な文法範囲を整理すると次のようになります。
| 機能 | 代表的な文法 | 意味(扱う講) |
|---|---|---|
| 理由・順序 | -아서/어서 | 〜ので、〜して(第2講) |
| 対比・背景 | -지만, -는데 | 〜だが、〜なのに(第3講) |
| 進行 | -고 있다 | 〜している(第5講) |
| 能力 | -(으)ㄹ 수 있다/없다 | 〜できる/できない(第6講) |
| 義務 | -아야/어야 되다 | 〜しなければならない(第7講) |
| 条件・仮定 | -(으)면 | 〜すれば、〜なら(第8講) |
| 目的 | -(으)러 가다/오다 | 〜しに行く/来る(第9講) |
| 経験 | -아/어 봤다 | 〜したことがある(第10講) |
文法に加えて、語彙の量も2級の関門です。1級が身近な単語中心だったのに対し、2級では公共施設・交通・買い物・健康・趣味など、日常生活の幅広い場面の語彙が必要になります。とくに日本語話者に有利なのが漢字語(한자어)です。約束(약속)、無料(무료)、準備(준비)のように、日本語と意味・音が近い単語が多く、これは大きな武器になります(第16講で扱います)。一方で 不規則活用(ㅂ・ㅡ不規則など)が登場し始めるのも2級の特徴で、第17講で入門します。なお、初級で必要な語彙量はおおむね1,500〜2,000語程度が一つの目安とされますが、数を追うより「使える単語」を増やす意識が大切です。
⚠️ 学習でつまずきやすい点と対策
このセクションでは、日本語話者が2級学習で実際につまずきやすいポイントを、具体的に取り上げます。
つまずき①:語幹の「陽母音・陰母音」を意識していない。 2級の語尾は -아서/-어서、-았/었어요 のように二つの形を持つものが多く、どちらを選ぶかは語幹末の母音で決まります。語幹末が ㅏ・ㅗ(陽母音) なら -아- 系、それ以外なら -어- 系が基本です(하다 は例外で해요)。最初にこの「母音で形が変わる」感覚をつかまないと、文法を覚えても正しく活用できません。
つまずき②:助詞を日本語の感覚で訳す。 例えば「友だちに会う」は、日本語の「に」につられて 에 を使いがちですが、韓国語では 친구를 만나다(友だちを会う) と目的格を使います。逆に「〜に乗る」は 버스를 타다、「〜が好きだ」は -을/를 좋아하다 です。助詞は丸暗記ではなく「この動詞はこの助詞を取る」と動詞ごとにセットで覚えるのが対策です。
つまずき③:聞き取りを後回しにする。 文字で読めば分かるのに、音だと聞き取れない——これは初級で最も多い悩みです。原因のひとつが連音化(받침が次の母音とつながって発音される現象)です。例えば 한국어 は、文字を一つずつ区切った「ハン・グク・オ」ではなく「ハングゴ」のようにつながって発音されます。対策は、新出単語を覚えるとき必ず声に出し、音声を聞くこと。読解だけで点を稼ごうとすると、聞き取り100点ぶんを取りこぼします。
これらは精神論ではなく、第2講以降の各回で具体的な練習として繰り返し出てきます。「弱点を知ったうえで学ぶ」と「知らずに学ぶ」では吸収率が違います。
🗺️ 合格までの学習計画を立てる
このセクションでは、20講をどう使って合格まで進むかという全体計画を示します。本講座は大きく四つのブロックに分かれています。
- 導入と連結語尾(第1〜4講):今回の総点検と、理由・対比・文体の土台。
- 機能別の核心文法(第5〜10講):進行・能力・義務・条件・目的・経験という、2級頻出の表現群。
- 運用と語彙(第11〜17講):比較・提案・電話予約・感情表現、漢字語、不規則活用。
- 総仕上げ(第18〜20講):聞き取り・読解の総合演習と模擬問題。
おすすめの進め方は、1講ごとに「読む→声に出す→例文を3つ自作する」サイクルを回すことです。文法は読んで理解した時点ではまだ「知識」にすぎず、自分で文を作って初めて「運用力」に変わります。第10講・第17講・第20講のような節目では、それまでの内容を振り返る復習日を設けると定着が安定します。試験対策としては、合計140点を意識し、聞き取りと読解のどちらかに偏らないようにしましょう。土台が不安な項目があれば、今日のうちに付箋を貼っておくと、後の講義で効率よく補強できます。
📝 核心まとめ
第1講の要点を整理します。
- TOPIK I は聞き取り30問+読解40問=70問・200点満点、すべて四択。作文・口述はありません。
- 等級は総得点で判定され、80点以上で1級、140点以上で2級です。
- 1級の土台=ハングル・基本助詞・합니다/해요体・過去形・否定。訳なしで使えるか点検しましょう。
- 2級の核心=連結語尾による複文化(-아서/어서, -지만, -(으)면 など)と語彙拡張・不規則活用入門。
- つまずき対策=陽母音/陰母音の活用、助詞は動詞とセット、聞き取りは声に出す。
これで学習の地図が手に入りました。次の第2講では、最初の連結語尾「-아서/어서」を取り上げ、理由と順序をひとつの文で表す方法を、活用ルールから例文まで詳しく学びます。土台の点検が済んだら、いよいよ「文をつなぐ力」へ踏み出しましょう。
📚 참고 자료
관련 주제
- TOPIK 시험 구성
- 등급 판정 방식
- 1급 문법 점검
- 2급 학습 목표
- 학습 계획 설계
- 외국어
- 외국어 강의
- 한국어능력시험(TOPIK) 2급 20강
- 무료강의
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