2種類の否定 안(〜ない)と 못(〜できない)を学びます。短い形と -지 않다/못하다、하다動詞での「공부 안 해요」という分離、못の発音変化、そして안と못の使い分けを習得します。
🎯 学習目標
この講を終えると、あなたは韓国語の2種類の否定 안 と 못 を使い分け、「行きません」「食べられません」のように、単純な否定と「できない」という不可能を区別して表現できるようになります。第13講までで動詞・形容詞を学びましたので、それらを否定できるようになると、表現の幅が大きく広がります。
韓国語の否定には、日本語と同じく2つの方向があります。1つは「しない」という単純否定・意志の否定(안)、もう1つは「できない」という能力・状況による不可能(못)です。これは日本語の「食べない」と「食べられない」の違いに対応するので、日本語話者は感覚をつかみやすいでしょう。
この講では、まず2つの否定の全体像を確認し、それぞれの作り方、特に하다動詞での注意点と못の発音変化、そして안と못の使い分けまで学びます。
🚫 2種類の否定 — 「안」と「못」
この節では、2つの否定の基本的な違いを学びます。안(アン)は「〜しない・〜くない」という単純な否定で、自分の意志で「しない」場合や、単に状態を否定する場合に使います。一方、못(モッ)は「〜できない」という不可能の否定で、能力が足りない、または状況が許さないために「できない」場合に使います。
たとえば「술을 안 마셔요」は「お酒を飲みません(飲まない=意志・習慣)」、「술을 못 마셔요」は「お酒が飲めません(体質などで飲めない=不可能)」という違いになります。同じ「飲まない/飲めない」でも、「自分で選んでしない」のか「したくてもできない」のかで、안と못を使い分けるわけです。
この区別は、日本語の「飲まない(안)」と「飲めない(못)」の違いとほぼ同じです。日本語で「ない」を使うか「できない」を使うかを考えれば、안と못のどちらを選ぶか、おおよそ判断できます。まずはこの大きな枠組みを押さえ、次の節から作り方を詳しく見ていきましょう。
🅰️ 「안」否定 — 〜ない(短い形と하다動詞の注意)
この節では、안による否定の作り方を学びます。最も簡単な方法は、動詞・形容詞の前に「안」を置くだけです。「안 가요(行きません)」「안 먹어요(食べません)」「안 비싸요(高くないです)」のように、用言の直前に안を置きます。第13講で学んだ形容詞の否定(안 좋아요)も、これと同じ仕組みでした。
ここで重要な注意点があります。「공부하다(勉強する)」のような「名詞+하다」型の動詞では、안を「하다」の直前に入れ、名詞と하다の間に割り込ませるのです。つまり「안 공부해요」ではなく 「공부 안 해요」 が正しい形です。同様に「일 안 해요(働きません)」「운동 안 해요(運動しません)」「전화 안 해요(電話しません)」となります。これは日本語の「勉強しない」の感覚とは少しずれるので、特に注意が必要です。
もう一つの否定の作り方が、長い形「-지 않다」です。用言の語幹に「-지 않아요」をつけます。「가지 않아요(行きません)」「먹지 않아요(食べません)」「비싸지 않아요(高くありません)」のように使います。意味は안とほぼ同じですが、長い形のほうがややかたく、書き言葉や丁寧な場面で好まれます。会話では短い「안」、文章では「-지 않다」、と使い分けられると自然です。なお、長い形では하다動詞も「공부하지 않아요」と分離しないので、こちらのほうが規則的とも言えます。
🅱️ 「못」否定 — 〜できない(不可能)
この節では、못による否定の作り方を学びます。作り方は안と同じで、動詞の前に「못」を置くだけです。「못 가요(行けません)」「못 먹어요(食べられません)」「못 와요(来られません)」のように使います。能力が足りない、時間や状況が許さない、といった「できない」を表します。
하다動詞での扱いも안と同じで、「名詞+못+하다」と分離します。「공부 못 해요(勉強できません)」「운동 못 해요(運動できません)」のようになります。長い形は 「-지 못하다」 で、「가지 못해요(行けません)」「먹지 못해요(食べられません)」のように使います。なお、못は能力・不可能を表すため、状態を表す形容詞には基本的に使いません(「못 비싸요」とは言いません)。못は動詞につく、と覚えておきましょう。
못には発音変化が多い点にも注意が必要です。第3講の発音規則がここで活躍します。「못 가요」は濃音化して [몯까요]、「못 먹어요」は鼻音化して [몬머거요]、「못 와요」は連音化して [모돠요] と読まれます。つづりは「못」のままでも、後ろの音によって読み方が変わるので、音読で慣れておきましょう。
⚖️ 안 と 못 の使い分け
この節では、안と못の使い分けを、具体的な場面で整理します。判断の基準は「しないのか(意志・選択)」「できないのか(能力・状況)」です。
| 状況 | 否定 | 例 |
|---|---|---|
| 自分で選んでしない | 안 | 오늘 술 안 마셔요(今日はお酒を飲みません) |
| 能力がなくてできない | 못 | 수영 못 해요(泳げません) |
| 状況が許さない | 못 | 바빠서 못 가요(忙しくて行けません) |
| 状態の否定(形容詞) | 안 | 안 추워요(寒くないです) |
会話例で感覚をつかみましょう。「내일 파티에 와요?(明日パーティーに来ますか)」——行きたくない場合は「아니요, 안 가요(いいえ、行きません=意志)」、行きたいけど都合がつかない場合は「미안해요, 못 가요(ごめんなさい、行けません=不可能)」となります。同じ「行かない」でも、相手に伝わるニュアンスがまったく違うので、状況に合わせて選びましょう。
迷ったときのコツは、日本語に訳してみることです。「〜ない」がしっくりくるなら안、「〜できない」がしっくりくるなら못です。「お酒を飲まない(習慣)→안」「お酒が飲めない(体質)→못」のように、日本語の「ない/できない」の選択がそのまま手がかりになります。日本語話者にとっては、ここでも母語の感覚が大きな助けになります。
過去形と組み合わせると、表現の幅がさらに広がります。第11講で学んだ過去形を使えば、「안 갔어요(行きませんでした)」「못 갔어요(行けませんでした)」「공부 안 했어요(勉強しませんでした)」「못 먹었어요(食べられませんでした)」のように言えます。否定の안/못は、現在でも過去でも、用言の前に置く位置は変わりません。たとえば「어제 왜 안 왔어요?(昨日なぜ来なかったのですか)」「일이 있어서 못 왔어요.(仕事があって来られませんでした)」のように、理由とともに使うと、より自然な受け答えになります。安定して使えるよう、現在・過去の両方で声に出して練習しておきましょう。
⚠️ 日本語話者がつまずくポイント
この節では、否定でよくある間違いを3つ整理します。
① 하다動詞で「안/못」を前に置いてしまう。 「안 공부해요」は誤りで、正しくは 「공부 안 해요」 です。「名詞+하다」型は、안/못を名詞と하다の間に入れます。これは韓国語特有のルールなので、特に意識しましょう。
② 안と못を取り違える。 意志で「しない」のに못を使うと、「できない」という別の意味になってしまいます。「ダイエット中でケーキを食べない」なら안 먹어요(意志)、「アレルギーで食べられない」なら못 먹어요(不可能)です。
③ 못の発音をつづりどおりに読む。 「못 가요」を「モッカヨ」と区切らず、[몯까요] と濃音化、「못 먹어요」は[몬머거요]と鼻音化します。発音変化は規則どおりなので、音読で慣れていきましょう。
📝 まとめと次回予告
この講では、2種類の否定を学びました。要点を振り返りましょう。
- 안=〜ない(意志・単純否定)、못=〜できない(不可能)。
- 短い形は用言の前に置く(안 가요/못 가요)。
- 「名詞+하다」型は分離:공부 안 해요/공부 못 해요。
- 長い形:-지 않다(안)/-지 못하다(못)。書き言葉でよく使う。
- 못は発音変化に注意(못 가요[몯까요]、못 먹어요[몬머거요])。形容詞には안を使う。
否定が使えるようになると、「する/しない」「できる/できない」を自由に言い分けられ、会話がより正確になります。次の第15講「希望 -고 싶다」では、「〜したい」という願望の表現を学び、「韓国に行きたいです」「食べたいです」のように、自分の望みを伝えられるようにしていきます。まずは今日の안と못を、自分の習慣や苦手なことに当てはめて練習してみましょう。
📚 参考資料
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